01.連結納税導入支援
平成22年の税制改正後、連結納税を選択する企業グループが増加しています。その背景には、ホールディングカンパニー方式の企業グループが増加していること、連結納税のデメリットが少なくなったことが挙げられます。具体的には、株式所有期間等の要件を満たした子会社の繰越欠損金が切捨てられず、連結グループに持込めるようになったこと、資本金5億円以上の100%子会社に対する中小企業特例がなくなったこと、連結納税の承認期限が事業年度開始6ヶ月前から3ヶ月前に短縮されたこと等が挙げられます。
現在も残る連結納税のデメリットは、継続適用が原則として強制されること、一定の要件を満たさない子会社の繰越欠損金は切捨てられ、さらに、当該子会社は時価評価の対象となり、含み益のある資産に対して課税問題が発生することが挙げられます。そのため、M&Aを頻繁に行う会社は、連結納税と相性が悪いとも言えます。しかし、100%子会社以外は連結納税に組み込まれないため、M&Aを頻繁に行う企業でも、連結納税のデメリットが大きい場合には、100%まで株を取得しなければよく、また、100%子会社の株式を一部でも売却すれば自動的に連結納税から外れるため、上記のデメリットは絶対的なものではないと言えます。そのため、特に親会社の資本金が5億円以上の企業グループについては、今も残る連結納税の主なデメリットは、決算・申告事務の増加のみと言えます。
一方、連結納税のメリットは、連結グループ内に赤字の会社があれば損益通算できること、親会社に繰越欠損金がある状態で連結納税を開始すれば、これをグループ全体の会社で利用できることが挙げられます。さらに、課税所得が足りずに、試験研究費の税額控除や外国税額控除等が限度額までできない場合、連結納税を選択することにより、グループ全体の課税所得を基に控除が可能になるため、控除額が増加する余地があります。その他、子会社資産の時価評価、外国子会社受取配当の益金不算入も、企業グループによってはメリットになるため、これらを総合的に勘案し、連結納税の選択の是非を判断することが、企業グループの税務戦略にとって必要不可欠なものになっています。
蒼翠税理士法人では、お客様からのご依頼内容に応じ、連結納税を実施した場合のシュミレーション、連結納税導入のための支援、連結納税申告書の作成を行っております。連結納税のシュミレーションにつきましては、連結納税を実施した場合、グループ全体での税額が単体納税とどう異なってくるかを、現状と将来の状況変化があった場合のパターン別に分けてご説明いたします。連結納税の導入を検討する際には、お気軽にご相談ください。