02.移転価格文書作成

多国籍企業における最も中心的な税務調査項目は、国外関連者との取引価額の妥当性であると言えます。上場企業への移転価格の調査が一通り行われたこともあり、徐々に資本金1億円以下の企業にも調査対象が広がっています。国税当局から移転価格に関する課税処分を受けると、その金額は膨大になることが多く、かつ、最終的に二重課税が解消されない可能性もあるため、当該リスクをできる限り減少させておくことが重要になります。

日本でも移転価格に関する文書の作成が義務化され、これを遅滞なく提示又は提出しなかった場合、国税当局が独立企業間取引価格を推定して所得金額を決定することになります。その際、推定の根拠事実も開示されないため、納税者に反論の余地はほとんんどありません。そのため、移転価格に関する文書を作成し、企業の主張を明確にしておき、推定課税を避けることが不可欠と言えます。仮に、国外関連者が同地域の同業他社よりも高い利益率となっている場合、その理由を移転価格文書に明示しておけば、国税当局はこれを考慮することになりますが、何も文書がなければこれを考慮せず、推定課税を行う可能性が高くなります。

移転価格文書には、国外関連取引に係る資産の明細及び役務の内容、各法人の果たす機能及びリスク・使用した無形固定資産、国外関連取引の対価の設定方法・損益の明細、選定した独立企業間価格算定の方法及びその選定の理由、国外関連取引に係る比較対象取引の選定方法及び比較対象取引の明細等を記載しなければならず、この作成には相当な労力を要します。また、同種の業務を行う法人の利益率等を参考にする必要があるため、専門的なデータも必要になります。

蒼翠税理士法人では、お客様のご要望に合わせて、移転価格文書の作成、お客様自身で文書を作成する場合の支援、国外取引の対価設定に関する助言、その他国際取引に関する税務アドバイスを提供しております。移転価格文書の作成を検討する際には、お気軽にご相談ください。