重要判例 組織再編の行為計算の否認

(最高裁結論)

組織再編行為が法人税を不当に減少させる結果になると認められ、被合併会社の繰越欠損金543億円は合併会社の繰越欠損金として引継ぐことは認められない。

 

(合併税制)

被合併会社の繰越欠損金を引継ぐためには、適格合併であることが必要になる。共同事業を行う会社同士の合併の場合、適格となる要件の一つに被合併会社の特定役員(社長、専務等)のうちいずれかの人が合併会社の特定役員になることがある。

 

(最高裁判断)

合併前に合併会社の代表取締役を被合併会社の取締役副社長に就任させ、特定役員要件を充足させたことは、租税回避行為に該当する。租税回避か否かは以下の基準で判断する。

  • ・当該法人の行為が通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づいたり、実態とかい離した形式を作り出したりするなど、不自然なものであるかどうか。
  • ・税負担の減少以外にそのような行為又は計算を行うことの合理的な理由があるかどうか。

 

 

(私見)

租税回避行為に関する最高裁の判断は国側が敗訴するものもあったが、今回最高裁が租税回避行為を認定したポイントは、以下のような事実からと考えられる。

  • ・特定役員要件のために役員就任していることを示す内容がメールに残っている。
  • ・被合併会社の副社長に就任してからも、同社の具体的業務に携わらず、非常勤で、報酬も支給されていない。
  • ・副社長就任の必要性が合併会社と被合併会社で具体的に協議された形跡がない。